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就業規則の作り方 その15「賃金規程〜基準外賃金」

賃金規程〜基準外賃金


基準外賃金とは、残業代計算の基礎には含めない賃金の事を言い、時間外労働や休日労働、深夜労働に対する賃金、通勤手当、家族手当、別居手当、子女教育手当、住宅手当、臨時に支払われる賃金、1か月を超える期間ごとに支払われる賃金などがあります。
ただし、扶養家族の人数に関係なく一律に支給される家族手当や、通勤距離に関係なく一律に支給される通勤手当は従業員の個人的事情により支給される賃金とはみなされないため、基準外賃金には該当せず基準内賃金となります。

 

■通勤手当

通勤手当とは、通勤にかかる経費を補填するために支給される手当になります。
交通手段や距離、ガソリン代などから実際に通勤にかかる費用を計算し、金額を算定します。
通勤手当については法律による規定はありません。つまり、通勤手当を支払うも支払わないも会社の裁量であり、支給限度額を規定することも可能です。
もし、通勤に自家用車を使わせる場合は、許可制にして任意保険などの確認をしておきましょう。

 
第○条(通勤手当)
1.公共交通機関を使っての通勤に対しては、所得税の非課税限度額の範囲内で実費を支給する。ただし、社員から申請のあった通勤経路が、距離および金額から見て最も合理的であると会社が認めたものに限る。なお、2キロメートル以内の移動に対しては通勤手当を支給しない。
2.自家用自動車を使用しての通勤は原則として認めない。ただし、会社に許可申請をし、会社が認めたものに関しては、通勤距離1キロメートルごとに月額500円を支給する。
 3.自転車を利用して通勤する者には、月額2,000円の通勤手当を支給する。

■家族手当

家族手当とは、扶養者がいる従業員に対して基本給とは別に生活費に配慮して支給される手当の事を言います。会社として社員の家族構成を把握しておく事や、支給開始、支給停止のタイミングについても明確化しておきましょう。

■住宅手当

住宅手当とは住宅ローンや家賃の一部を補助する目的で支給する手当になります。
支給額は住居の世帯主か世帯主以外であるのか、扶養家族の有無で考慮するケースが多くみられます。


第○条(住宅手当)  
社宅または寮以外に居住する社員に対しては、次の区分に応じた住宅手当を支給する。
      区分     住宅手当の額
     世帯主      20000円
    世帯主以外       5000円

■時間外手当

時間外手当とは労働基準法で定められている法定労働時間を超えた際に発生する割増賃金です。
法定労働時間は休憩時間を除いて1日8時間、もしくは1週間40時間を超えてはいけないことになっています。
法定労働時間を超えた時間外労働は通常の賃金の1.25倍(60時間以上の時間外労働については1.50倍(ただし、60時間以上の割増賃金については、一定の中小事業主は、当分の間免除))、休日労働は通常の賃金の1.35倍、深夜労働は通常の賃金の0.25倍と割増賃金の最低限度額が規定されています。これを下回る賃金額を就業規則に規定しても無効と判断されることになります。

■休日手当

休日労働とは法定休日に行った労働のことを指します。
労働基準法では法定休日は1週間に1日または4週間に4日と定められていますから、例えば土曜日と日曜日を休日とする週休二日制の会社にあっては、就業規則法定休日と定めた日について休日労働に対する割増賃金を支払えば足りることになります。

■深夜手当

深夜労働とは午後10時以降で午前5時までの深夜時間帯での労働を言います。

時間外労働や休日労働が深夜に及んだ場合、具体的には次の賃金を支払わなければなりません。
(1)時間外労働+深夜労働=5割以上
(2) 休日労働+深夜労働=6割以上



第○条(時間外手当)  
社員が法定労働時間を超え、または法定休日・深夜に労働した場合は、次の計算式により手当を支給する。なお、現場手当を支給されている社員の時間外勤務手当については、40時間を超えた場合に支給することとする。
 (1)時間外手当 
   ((基本給+役職手当)÷1カ月の平均所定労働時間) × 1.25× 法定時間外労働時間数

 (2)休日手当
   ((基本給+役職手当)÷1カ月の平均所定労働時間) × 1.35× 休日勤務時間数

 (3)深夜手当
   ((基本給+役職手当)÷1カ月の平均所定労働時間) × 0.25× 深夜勤務時間数
   

なお、法定労働時間の特例を受けることができる事業は、常時10人未満の労働者を使用する、商業、映画演劇業(映画製作の事業は除く)、保健衛生業、接客娯楽業の4事業です。
これら事業は、1週間の法定労働時間は44時間とされています。 割増賃金を計算する際には、原則として基本給のみならず諸手当もその算定の基礎に入れなければなりません。割増賃金の基礎から除外できる手当は家族手当、通勤手当、別居手当、子女教育手当、住宅手当、臨時に支払われた賃金、 1カ月を超える期間ごとに支払われる賃金の7つに限られています。
ただし、これら手当が除外できるかどうかについては、手当の名称によるのではなく、実態により判断されることになります。
2022/12/27

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