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就業規則の作り方 その11「教育・表彰と制裁」

教育・表彰と制裁

■教育

従業員の能力を最大限に引き出すためには、教育が必要となることがあります。
教育訓練はスキルアップやモチベーションアップには欠かせないものとなり、教育には社員が自主的に行うものと会社が業務命令として行うものの2つがあります。
社員が自主的に自己啓発として受けた教育や研修に関しては、これに要した時間は労働時間の扱いとはなりません。
ただし、社員が自発的に受けた教育や研修に関して、会社が承認した場合には、これにかかった費用を会社が負担する例は多く見受けられます。
会社が業務命令として社員に教育や研修を行う場合は、社内で行うもの、社外で行うものを問わず労働時間の扱いになります。
研修や教育訓練に不参加だった場合、就業規則で減給処分の対象とされていたり、不参加により業務を行うことができなかったり等、事実上参加を強制されている場合には研修や教育訓練でも労働時間に該当します。

第○条(教育)
1.会社は社員に対し、業務に必要な知識、技術、能力を高めるために必要な教育を行う。社員は正当な理由なくこ
 れを拒否することはできない。
2.受講のための時間については労働時間の扱いとし、賃金規定に則った賃金を支払う。

第○条(自己啓発)
1.社員は、業務に必要な知識、技術、能力を高めるために自己啓発に努めなければならない。
2.社外研修または通信教育等を受けようとする社員が申請し、会社が承認した場合は、これに要する費用は会社が負担する。
3.前項の場合は、自己啓発の受講終了後、速やかに受講報告書を会社に提出しなければならない。

■表彰

表彰を設けることは、会社に大きな貢献をした従業員の士気を高めるものになります。
表彰は就業規則の相対的必要事項になりますので定める場合には就業規則に必ず記載しなければなりません。

 
第○条(表彰) 1.社員が次の各号の一に該当したときは、その都度審査の上表彰する。
(1)業務成績が優秀で他の社員の模範と認められるとき
(2)業務に関する有益な発明、創意工夫、改善をしたと認められるとき
(3)災害の防止、または非常の際に特に功労があったとき
(4)社会的貢献により会社及び労働者の名誉となったとき
(5)前各号に準ずる功績が認められたとき
2.表彰は賞状および賞品または賞金を授与する。その功績の程度によって は、昇給、昇格させる場合もある

■制裁

社員が会社に損害を与えたり、非違行為を行ったりした場合には制裁を行う必要があります。特に制裁については、就業規則に明確な根拠が求められます。就業規則に制裁に関する規定がない場合は、社員に制裁を行うことができません。
労働契約法は、「使用者が労働者を懲戒することができる場合において、当該懲戒が、当該懲戒に
係る労働者の行為の性質及び態様その他の事情に照らして、客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上
相統であると認められない場合は、その権利を濫用したものとして、当該懲戒は、無効とする」として、
その非違行為に見合った程度の制裁を行うことを規定しています。
制裁の種類ですが口頭で注意する戒告が処分のなかでは一番軽いものとなり、懲戒解雇が一番重い処分となります。
懲戒解雇は会社に対して重大違反行為をした場合に対し行い、予告期間を設けず即時解雇となります。
退職金は不支給または減額が一般的です。

第○条(制裁の種類)
1.会社は、社員が本規則および付随する諸規程に違反した場合は、その程度に応じて次に定める種類の制裁処分を行う。ただし、情状によっては制裁の程度を軽減させることがある。
(1)訓  戒……始末書をとり将来を戒める。
(2)減  給……始末書をとった上、1回の額が平均賃金の1日分の半額以内、総額が一賃金支払期における賃金総額の10分の1以内で減給する。
※減給に関しては、1回の事案については平均賃金の半額以下、複数の事案については賃金支払期における賃金総額の10分の1以下と労働基準法で、その範囲が規定されています。
(3)出勤停止……始末書をとり7日以内の出勤停止を命じる。この期間の賃金は支払わない。
(4)諭旨解雇……退職願の提出を勧告する。なお、勧告した日から3日以内にその提出がないときは懲戒解雇とす
る。
(5)懲戒解雇……予告期間を設けることなく即時に解雇する。労働基準監督署長の認定を受けた場合には解雇予告手当も支給しない。退職金も支給しない。

第○条(訓戒)  社員が次の各号の一に該当する行為をした場合は訓戒に処する。  
(1)正当な理由なく遅刻、早退、欠勤をしたとき  
(2)業務中に私的な行為をし、睡眠など惰性にわたる行為があったとき  
(3)会社が指定した場所以外で喫煙をしたとき  
(4)就業規則に定める服務規律に違反した場合であって、その事案が軽微なとき
(5)その他前各号に準ずる行為があったとき

第○条(減給・出勤停止)  社員が次の各号の一に該当する行為をした場合は減給または出勤停止に
処する。ただし、情状によっては訓戒処分にとどめることがある。  
(1)訓戒処分を受けたにもかかわらず同じことを繰り返したとき  
(2)タイムカードの不正打刻をし、または不正打刻を依頼したとき  
(3)過失により災害、または営業上の事故を発生させ、会社に重大な損害を与えたとき  
(4)就業規則に定める服務規律に違反した場合であって、その事案が比較的軽微なとき  
(5)セクシャル・ハラスメントまたはパワー・ハラスメントを行ったとき  
(6)その他前各号に準ずる行為があったとき

第○条(諭旨退職・懲戒解雇) 社員が次の各号の一に該当する行為をした場合は懲戒解雇に処する。
ただし、情状によっては諭旨退職、減給、出勤停止処分にとどめることがある。  
(1)無断欠勤または正当な理由のない欠勤が14日以上続いたとき  
(2)出勤常ならず改善の見込みがないとき  
(3)減給、出勤停止処分を受けたにもかかわらず同じことを繰り返し改悛の見込みがないとき  
(4)刑事事件で有罪判決を受け、その刑が確定したとき  
(5)重要な経歴を偽り会社に採用されたことが発覚したとき  
(6)再三の指導教育にも関わらず正当な理由なく業務上の指示または命令に従わないとき  
(7)故意または重大な過失により災害または営業上の事故を発生させ会社に重大な損害を与えたとき  
(8)許可なく他の事業所に雇用され、または類似する自営を行ったとき  
(9)飲酒運転により重大な事故を起こしたとき  
(10)会社の許可なく業務上金品等の贈与を受けたとき   
(11)素行不良で著しく会社の秩序または風紀を乱したとき。セクシャル・ ハラスメントまたはパワー・ハラス
   メントの行為が悪質であると認められるとき
(12)私生活上の非違行為により会社の名誉を著しく傷つけたとき  
(13)会社の金品を盗み、横領し、または背任等の不正行為をしたとき  
(14)暴行、脅迫その他の不正行為により著しく社員としての対面を汚したとき  
(15)不当に会社を誹謗中傷する言動を行ったとき  
(16)就業規則に定める服務規律に違反し場合であって、その事案が重大なとき  
(17)その他前各号に準ずる行為があったとき

■損害賠償

社員が故意や重大な過失で会社に損害を与えた場合には、会社は損害賠償を請求することができます。
これは制裁処分とは異なるものであり、当然の主張と言えます。
ただし、故意や重大な過失のない通常の過失事故などは、会社が社員に請求できる額が損害額の2~3
割程度が限界とされています。就業規則に全額賠償させる規定を定めていても全額を賠償させるのは
難しいでしょう。
労働基準法では損害賠償金や違約金の請求に関して予め額を決めておくことは禁止されています。

第○条(損害賠償)
1.社員が故意または重大な過失により会社に重大な損害を与えた場合は、損害の一部または全部を賠償させること
 がある。なお、当該損害賠償の責任は退職後も逃れることはできない。
2.損害賠償を請求された社員より損害賠償がなされないときは、身元保証人が損害賠償の責任を負うものとする。


 
2022/11/28

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